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『原始反射 ~怖がりな子どもたち~』
2024/02/24
大きい音を過剰に怖がる、階段やちょっとした段差も怖がるといった、所謂“怖がりな子ども”と呼ばれてしまう子どもたちがいます。親や支援者からするとオーバーリアクションに見えたり、何がそんなに怖いの?と戸惑いを感じたりします。
そんな子どもたちに関わっていると言われているのが「モロー反射」といわれる原始反射です。
モロー反射は生まれた直後から生後4ヶ月頃まで見られ、大きい音や光に反応してビクッと両手両足を広げ、ゆっくりと元に戻る反射です。
モロー反射はストレスに対する防御反応ですが、この反射が長く残ってしまっている子どもは外からの刺激に対して敏感になりやすかったり、不安を感じやすくなったりする傾向があります。その為新しいことを始めたり、新しく環境が変わることが苦手で慣れていることしかやりたがらない場合が多くみられます。
これは反射による影響なので子どもの意思とは無関係です。
しかしこのことを知らない親や支援者はついつい「怖がりすぎだよ!」などといって根性論を押し付けてしまうケースがあります。
そうならない為にまずはその子どもが“怖がっている”という事実を受け止め共感を示すことが大切です。その上で原因やどの程度の刺激なら無理なく受け入れることができるかということを探っていきます。
もし原因がモロー反射の残存にあるうちは思考・判断・記憶をつかさどる大脳よりも本能的な脳幹の働きが強いということです。その状態ではどんなに大脳に「これは安全、大丈夫」と言い聞かせようとしても、脳幹が「まだまだ安全じゃないから」といって大脳の働きを止めてしまいます。
ですのでそういう子どもに対しては原始反射をしっかりとって、脳幹の状態を安定させ、大脳がしっかり機能できる状態にすることが大切になります。
そうすることで初めて頭で考えて恐怖心や不安と向き合うことができるようになっていきます。
作業療法士 磯和海里